「ほら見たことかー！！」

川崎和男

１年くらい前でしょうか。川崎研ではペン回しが流行りました。といっても川崎先生と僕とドクターの先輩の３人です。

手先の運動が脳の働きを活性化する。と考え、脳の体操にも近い意味で回していました。

ある日、授業後に川崎先生がどれくらい出来るようになった？と僕らにお聞きになりました。

この３人の実力を数式的に表すと、

先輩≧川崎先生≫僕　

完全に主観ですがこんな感じです。

僕は、まだまだです。もうちょい練習しないと追いつけません。と言うのが精一杯でした。

しかし、先輩は一番うまいのでサクッと新技を僕らに見せつけました。

この技が喧嘩師のハートに火をつけたのです。

「それならオレも出来る！」とだけ言い放ち、その新技をトライされました。

クルっ、ぽろ。

クルっ、ぽろ。

…

何度やったのかは覚えていません。何度かトライした後、

クルッ、パシッツ！

「ほら見たことかー！！」

どんな些細なことにもどれだけ負けず嫌いになれるか。サッカーをしていたときによく言われたことです。僕はどちらかと言えば負けず嫌いであると思っています。しかし、僕には全くここまで出来ていませんでした。

この一言が、先生が喧嘩師と呼ばれる所以であり、あれだけの賞をとった原動力であると、ペン回し用のペンを握りしめた手を見て思いました。